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【大杉だよりvol.3】ノーベル医学生理学賞と化学賞

2020.10.14

2019年はお休みしてしまいました。2020年の発表を受けてつぶやきます。

2020年のノーベル医学生理学賞はC型肝炎ウイルスの発見者である米英3氏に授与された。C型肝炎ウイルスの発見が、C型肝炎の血液検査や新薬開発に繋がり、沢山の肝臓がんなどの患者の命を救ったことが評価されての受賞である。

そもそも、肝炎ウイルスはA型と、B型が早くに分かっていたが、受賞者らは輸血後に肝炎になった患者の中にA型でもB型でもない患者に気づいた。1989年に新たに「C型肝炎ウイルス」と命名され、その後の動物を用いた研究で、肝炎の発症原因となるウイルスであることが証明されたのである。

そして、ウイルス増殖のメカニズムが証明されると抗ウイルス薬の開発が急速に進み、C型肝炎を完治させる新薬が開発されることに繋がって行った。その結果、多くの国々で輸血による肝炎が撲滅されるまでに至ったことが今回の素晴らしい受賞となったのだろう。

ノーベル賞の受賞には、「革命的な科学的発見が治療薬などの病気の治療法に繋がった」ことが評価対象になっていると思っている。今回は、日本人の受賞者は残念ながらいなかったが、IL-6を発見した岸本忠三氏が候補者に挙げられていた。私が研究開発に関わったアクテムラは関節リウマチの治療薬として世界中で用いられているIL-6阻害剤である。免疫の暴走を抑制することが以前から良く知られていて、今回の新型コロナウイルス感染重症肺炎患者においても免疫の暴走(サイトカインストーム)を抑えることで患者の命を救うことが期待されている。これまでも何回も候補に挙げられているが、特に今年は新型コロナで有力視されていた。ノーベル・ウイークが近づいた頃、いくつかの新聞社から電話やメールで問い合わせがあり、「受賞発表のある10月5日の6時頃、どこにいるか。受賞の際にコメントを頂きたい」との打診を受けていた。私が用意していたコメントが役に立たなかったのは悔しくもあり、残念でもある、がまた来年、吉報を待とう!

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